税務お役立ち情報

免税店制度の概要

免税店制度とは、免税店を経営する事業者が、外国人観光客などの非居住者に対して一定の方法で販売する場合には、消費税が免除される制度です。

なお、消費税が免除されるためには、下記の要件を満たす必要があります。

 

○免税対象品目
・一般物品 … 家電やバッグ、衣料品など(消耗品以外のもの)
・消耗品  … 食料や飲料、医薬品、化粧品など

 

○免税対象金額
・一般物品のみ   … 5千円以上
・消耗品のみ    … 5千円以上50万円以下
・一般物品+消耗品 … 5千円以上50万円以下
※2018(平成30)年7月1日より拡充されています(下記参照)。

 

○事業用又は販売用として購入されるものでないこと

 

○一定の方法
・免税店の許可を受けた店舗での販売であること
・「輸出免税物品購入記録票」を作成し、旅券等に割印すること
・「購入者誓約書」に免税物品を購入する非居住者の署名を受け、7年間保存すること

 

また、免税店制度の歴史は古く、全国免税店協会HPによると、その創設は物品税の時代である1952(昭和27)年まで遡るようですが、近年では主に下記の拡充が行われ、免税店制度は利用しやすくなってきています。

 

▶2014(平成26)年10月1日~「対象品目拡大」
それまで免税対象外であった消耗品が免税対象に加わりました。

 

▶2015(平成27)年4月1日~「免税手続一括カウンター、港湾臨時販売場届出制度の創設」
商店街などに手続カウンターを設置することで小規模商店等の負担を軽減。また、外交クルーズ船の寄港時にふ頭へ臨時免税店を出店しやすくなりました。

 

▶2016(平成28)年5月1日~「免税対象金額の下限額の引き下げ」
・一般物品 … 1万円超 → 5千円以上
・消耗品  … 5千円超 → 5千円以上

 

▶2018(平成30)年7月1日~「一般物品と消耗品の合算」
それまではそれぞれの区分ごとに5千円以上でなければ免税販売できませんでしたが、新たに特殊包装等一定の要件を満たすことで、合算で5千円以上であれば免税販売できるようになりました。

 

上記に加え、次の拡充が予定されています。

 

▶2020年4月1日~「免税販売手続の電子化」
現行の紙による免税販売手続(購入記録票のパスポートへの貼付・割印等)を廃止し、免税販売手続を電子化する必要があります。
※2021年9月30日までは、紙による免税販売手続も可能です。

 

免税店における免税販売手続の電子化

2020年4月1日(施行日)からは、従来より免税店において紙により行われている購入記録票の作成などの免税販売手続が廃止され、免税店を経営する事業者が、非居住者のパスポート等の情報と免税販売した物品についてのデータ(購入記録情報)を、インターネット等を介して、国税庁に提供することとなります。

 

この改正は、免税店を経営する全ての事業者が対応しなければなりません。2021年9月30日までは現行の紙による免税販売手続も可能ですが、同日までに対応しなかった場合は、その翌日(2021年10月1日)から免税販売を行うことはできなくなります。

 

また、電子化に先んじて、「輸出物品販売場の免税販売手続電子化に関する届出書」を事業者の納税地を所轄する税務署に提出しなければならないこととされています。
この届出書は施行日の半年前、2019年10月1日から提出することができ、提出後には税務署より免税店ごとの識別符号が通知されるようです。
※この識別符号が購入記録情報の一部となるため、施行日から電子化しようとする場合は、届出から通知までのある程度の期間を要することを考慮して、届出をする必要があると思われます。

 

この他にも適用要件や注意すべきことがあり、今後施行日に向けて順次様式など公表される予定です。
事業者にとっては電子化にあたり手間やコストがかかりそうで、とても拡充というイメージは湧かないですが、電子化の達成後は事業者、非居住者ともに手間が少なくなる見込みで、その意味での拡充といえそうです。

 

免税店になるための要件・手続き

免税店として認められるためには、免税店を経営しようとする事業者の納税地の所轄税務署から免税店ごとに許可を受けなければなりません。
また、許可を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります。

 

・「輸出物品販売許可申請書」を事業者の納税地の所轄税務署に提出する。
・事業者が消費税課税事業者であること。
・事業者が国税を滞納していないこと。
・免税店の所在地が、非居住者の利用度が高いと認められる場所であること。
・免税販売手続に必要な人員を配置し、同手続を行うための設備を有すること。
※「免税販売手続に必要な人員」については、外国語を流暢に話せなくとも、パンフレット等を活用して非居住者に手続きを説明できればよく、「同手続を行うための設備」については、非居住者であることの確認や購入記録票の作成などのためだけに使用する特別なカウンター等を設置することまでは求めていないとされています。

 

2020年の東京オリンピックを控え、今回お話した免税店や民泊ビジネスなど外国人観光客を「おもてなし」する施策がこれからも整って行くと思われます。
このビッグチャンスをものにして日本がもっと元気になればいいですね。

 


・2018年7月17日 公開


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