寄附金課税の具体的事例
=寄附金とは=
我社は、宗教団体も慈善活動団体とも付き合いがなく寄附などという行為を行うつもりもないから関係ないと言われるかもしれませんが、寄附とはそれだけを言うのではありません。
法人税法では、
1.内国法人が金銭その他の資産の贈与をした場合
2.内国法人が経済的な利益の無償の供与をした場合
には、これを寄附金と取り扱うとあります。
更に、
3.内国法人が通常の取引価額より低い価額で資産の譲渡又は役務の提供を行った場合には、その差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額についても寄附金として扱うこととなっています。
=具体的事例=
A法人が帳簿価額1000万円(時価1億円)の土地を
B社に帳簿価額で譲渡した場合。
○A社は土地を帳簿価額で譲渡しているので譲渡損益は発生しない。
○B社は1000万円で土地を購入したので帳簿価額を1000万円とした。
果たしてこれで良いのでしょうか?
上記の取引が成り立つのであればA社の土地の含み益がB社に無償で移転されることになりますよね。
これを防止するため法人の取引は通常の取引価額を基礎としてその価額と比較して差額が生じた場合には寄附金として一定額を超える部分の金額は損金としないこととしています。
そのため上記事例では
A社(譲渡側)は
○時価1億円の土地を通常の取引価額1億円で譲渡。
(現 金)/(土 地) 1000万円
(現 金)/(譲渡益) 9000万円
(寄附金)/(現 金) 9000万円
結果として土地を譲渡し、1000万円を取得します。
しかし、9000万円の譲渡益が発生し当然これは益金となります。
寄附金は、9000万円が損金になるのではなく一定の限度額までしか損金になりませんので課税される所得が生じることになります。
B社(購入側)は
○1千万円の支払で1億円の土地を購入。
(土 地)/(現 金) 1000万円
(土 地)/(受贈益) 9000万円
受贈益9000万円に対して法人税が課税されることになります。
寄附金課税の結論は、利益を受けた側が課税を受けるのは当然ですが利益を与えた側(損をした側)も課税を受けるということです。
実際、税務調査でも同族会社間取引の価額は寄附金取引に該当しないかよく検討される事項です。
・2016年2月8日 公開