税務調査の事前通知について
ある日、会社の電話が鳴りました。
「××税務署の○○と申します。
税務調査にお伺いしたいのですが…」
はじめてこのような電話を取られた方は、さぞ驚かれることと思います。
このような電話が税務署からかかってくるのは、「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」という、いわば税務署職員のための社内文書の中に、
「税務調査を行う場合には、原則として、納税義務者と税務代理人の
双方に事前通知する」(要約)
という記載があるからです。
平成25年1月1日以降の税務調査については、原則として税務署から調査対象となった会社と税理士の双方に対し調査の開始日時、開始場所、調査対象税目、調査対象期間などが事前に通知されることとなっています。
ですが、法人税申告書を作成される際、あるひと手間をかけることで、納税者にとってわずらわしい事前通知を回避することが可能です。
上記にご紹介いたしました事務運営指針の中に、
「税務代理権限証書に、事前通知は当該税務代理人に対して行われることについて同意する旨の記載があるときは、事前通知は当該税務代理人に対して行えば足りる」(要約)
という記載があるからです。
何をすればよろしいかと申しますと…
毎年提出される法人の申告書の中に、税務代理権限証書(いわゆる委任状)という書類があります。
ここに、「税務調査の事前通知は、顧問税理士に通知してください」という旨の記載をしておけば、基本的には直接納税者に税務調査の連絡が来ず、まず税理士に連絡が行くこととなっているのです。
ただし、印紙税については、税理士業務の対象税目ではないため、税務代理権限の対象の範囲外となっています。(税務代理権限証書に印紙税と記載があったとしても、この分については税務署から会社に直接連絡が行くことになっています。)
わずらわしい税務署からの通知を、何も会社が受けることはないと思います。お心当たりのある方は、是非、税務代理権限証書を確認されることをお勧めいたします。
・2015年6月23日 公開