「エビデンス」とは「根拠、証拠」という意味で税務調査においてはほぼ「エビデンス」の確認と言ってもいいのではないかという程重要です。
例えば得意先を料亭で接待した場合は、領収書、接待した相手先名等のエビデンスが必様です。エビデンスがなくて帳簿に接待飲食代として5万円を記載しても認められない可能性が高いです。
飲食費のエビデンスとしては領収書は当然として稟議書、精算書等も併用する事もあります。領収書のみの場合は裏面に接待した相手先名、参加者名(○○部長他○名でも可)参加人数を記載しておきます。
商品券等を一度に購入して得意先にお礼などで渡す場合もいつ、誰に、どれだけを渡したかも記録をつけておいた方が良いです。(在庫管理も必要)
交際費の隣接費用として福利厚生費や会議費等がありますがこちらも福利厚生費であれば参加者名(一部の従業員であったり高額であると交際費とされる場合もあります。)、
福利厚生の目的(例えば慰労会等)も明確にしておきます。
会議費であれば会議内容の議事録等もあると良いでしょう。
先日決算にあたり不良在庫を処分しようと思うと相談を受けました。
不良在庫の処分については廃棄をした棚卸資産のリスト(商品名・購入時期・購入金額)廃棄直前の写真(倉庫等で日付入りの写真)廃棄業者への引渡し時の写真(トラックに積み込んだ日付入りの写真)廃棄業者の請求書、稟議書等があると良いでしょう。
写真は撮り忘れるかもしれませんができる限りの証拠を整えておいた方が良いです。
売れなくなった商品を処分するのにお金も手間もかかるので、早めに見切りをつけて安売りしてしまった方が良いかもしれません。
不良在庫と同様にすでに使っていないような備品等(固定資産)の処分をする場合、実際に廃棄する場合は前述の棚卸資産の処分と同様でよいですが有姿除却(実際に処分せずに現状の姿のまま除却する事)の場合は将来的に再使用される可能性がないという事を客観的に立証できるエビデンスの作成が必要です。
除却の稟議書や場合によっては取締役会の議事録も保管しておくべきでしょう。
貸倒損失についてもエビデンスが非常に重要になってきます。
貸倒損失については納税者が貸倒の事実があった事を立証する責任があります。
実務上多いのは「書面による債務免除」ではないでしょうか。
書面により債務免除をした場合は、債務免除に至った経緯を記した稟議書、取締役会議事録、督促の記録、内容証明郵便等を保管しておきます。
以上ほんの少しの例ですがエビデンスの重要性がお分かり頂けましたでしょうか。
骨董屋などで稀に豊臣秀吉が使った茶碗などが売られていることがあるようですがこれもエビデンスがしっかりと整えられていれば数千円ではなく非常に高額な価格で取引がされた事でしょう。
・2018年4月10日 公開