タワーマンションの相続税節税とは
もう、ご存じの方も多いと思いますが、ちょっとおさらいしておきましょう。
タワーマンションの節税は、相続税評価額と実際の価格の差が大きくなることを利用します。
===マンションの相続税評価額===
<土地・・・路線価×専有持分>
マンション1棟の敷地面積を各持分で按分しますので、部屋の面積が同じなら高層階も、低層階も同じ評価額になります。また1区画の敷地の上に多くの戸数ができますので、1区画1個の建物の建つ戸建よりも評価面積も小さくなります。
<建物・・・固定資産税評価額>
建物はさらにわかりやすく、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。相続税においても1㎡あたりの評価額は高層階も低層階も同じになります。
○ タワーマンション節税のポイント
(1) タワーマンションの高層階は預貯金より相続税での評価が下がるのに、換金性が高い
人気物件であることが多く、賃貸でも売買でも流動性が高い
(2) 土地の評価対象面積が少ないので相続税評価額も小さくなる敷地面積に対して総戸数が多いため
(3) 高層階でも、低層階と同じ評価額になる。
一棟全体で価格が決まり、各部屋は、単純に持分面積で按分されるため
このように、タワーマンションの高層階の部屋は、実際の価値と相続税評価額の差異が大きくなります。この差異を利用した節税方法が問題になっていました。
<事例> 40階建てマンションの販売価格が下記のタワーマンションがあるとします
・最上階A室 1億2千万円 ・21階B室9000万 ・1階C室5000万 間取りは全て同じです。
1室あたりの相続税評価額は、約4千万円ほどになるかと思います。現行法では3室とも同額の4000万円になります。
Aさんの場合
財産・・預金2億円 相続人・・奥さんなし、子供3人
① Aさんが財産を預金でそのまま持っていた場合
相続税評価額 預金 2億円
相続税額 2,460万円になります。
② Aさんが、最上階A室を1億2千万円で購入した場合
相続税評価額 預金 8千万円 マンション 4千万
相続税は、 930万円になります。
税金の差額は 1,500万円にもなりました。
もし貸家にしたり、小規模宅地の適用を受けることができれば、さらに評価額は下がります。
しかも、相続税での評価額が下がっただけで、実際の価格は、あまり下がりませんので、相続した後にマンションを売却すれば、②の場合も2億円近く相続したことになります。それなのに相続税には大きな差がでます。
この節税方法が、租税回避行為として否認された事例がありますが、それは、あまりにも短期間で購入、相続、売却をした特殊なケースでしたので、一応、まだ、このスキームは利用されています。
今回の改正で、高層階の評価額が、実際の価格に近づくように改正されるため、上記の節税方法に一定の規制がかかるでしょう。
改正の適用年によっては、かけこみ需要があるかもしれません。
・2016年11月9日 公開