相続税の債務控除
債務控除は、被相続人が死亡した時にあった債務で確実なものを、その債務を負担することとなる一定の相続人や包括受遺者(相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産をもらった人を含む)の遺産総額から差し引くことができる制度です。
医療費を負担したのが、1.被相続人、2.相続人、である場合、次の取扱いとなります。
1.被相続人が負担
(相続開始前に支払)
相続開始前に被相続人が支払った医療費は、相続開始時点では債務が消滅しているため、債務控除の対象とはなりません。
(相続開始後に支払)
相続開始後に請求される医療費を自分で支払うことはないため、債務控除の対象とはなりません。
2.相続人が負担
(相続開始前に支払)
相続人が、相続開始前に被相続人の医療費を支払った場合、債務控除の適用が受けられるか否かは、扶養義務の有無によって異なります。
相続人に扶養義務がある場合に、相続人が被相続人の医療費を支払うことは、扶養義務の履行の一部とされるため、債務控除の対象にはなりません。
逆に、相続人に扶養義務がない場合に被相続人の医療費を支払うことは、立替払いと考えられるため、債務控除の対象となります。
(相続開始後に支払)
相続開始後に相続人が被相続人の医療費を支払った場合は、債務控除の対象となります。
その相続人が被相続人と生計を一にしていた場合は、相続税の債務控除だけでなく、相続人自身の確定申告で、医療費控除の適用を受けることもできます。
・2016年11月18日 公開