税務お役立ち情報

早朝出勤は残業になるの?

単純に、始業時間前に出社しても、残業扱いにはならないようです。
残業に当たるのは、業務を行うことを『会社が命令』した場合が原則のようです。

 

早朝出勤が残業になるかは、会社ごとの社内規程を確認いただき、法的な内容については弁護士、社会保険労務士等の専門家に確認いただいたほうが確実だと思います。

 

残業として取り扱うことになると、時間外の割増賃金が発生することは、想像がしやすいと思います。

その場合は、単純に給与収入が増加し所得税・住民税が課税されます。

 

会社によっては、給与の他に食事を支給することがあると思います。食事代の会社負担については、取扱が所得税の通達で公表されています。
次の項目で、課税関係がどのようになるか簡単に説明していきます。

 

早朝出勤を残業と取り扱う場合

早朝出勤を残業として取り扱う場合は、朝食についても既存の残業食事代の規定が適用されます。

 

① 会社側が朝食を購入した場合

会社側が朝食を購入し、従業員に支給する方法です。

全ての従業員に朝食を無料で受ける権利が与えられている時は、全員でなく一部の人しか利用しなかったとしても個人に対する課税関係は生じません。

 

② 従業員が朝食を購入した場合

従業員が購入した朝食代を会社で精算する方法です。

こちらの方法では、領収書やレシートで朝食の購入と明らかにされるものは、①と同様に個人に対する課税関係は生じません。

証憑なしに金銭だけ支給すると、通常の給与と同じ取扱いになるので注意が必要です。

 

①、②に共通して、社会通念上高額な食事を購入した時や、特定の役員や役員の親族のみを対象にしたものは所得税・住民税が非課税ではなくなりますので、ご留意ください。

 

朝食代を負担した会社側は『福利厚生費』等として経費に計上できます。

一人で行った食事代でも内容によっては、個人の所得税が課税されずに会社側で経費計上できます。
飲食代は誰がどのような理由で行ったものか明確に経費精算することをおすすめします。

※参考規定  所得税基本通達36-24

 

早朝出勤を勤務時間の一部と取り扱う場合

早朝出勤が残業ではなく、勤務時間の前倒しとして取り扱う場合は、残業食事代の規定とは異なり、全額非課税とはなりませんが、一定の金額までは非課税とされる規定が適用されます。
こちらは、主に昼食の補助等に用いられている規定です。

 

① 会社側が朝食を購入した場合

下記の2つの要件に該当すれば、個人に対する課税関係は生じません。

 

(イ) 従業員が食事の金額の50%以上を負担
(ロ) 会社側の負担が月額3,500円(税抜き)以下

 

通常の飲食店ではなく、社員食堂で食事をしていると仮定します。
社員食堂では、通常の価格より安価で食事を提供することがあります。
この規定は、その会社負担の上限を規定しているものです。

 

食事の金額は、他社から購入した時は購入した金額。会社で調理する時は材料費、調味料費など食事を作るために直接かかった費用の合計です。

昼食も支給する時は、朝食、昼食の合計額で判定することになります。

 

② 従業員が朝食を購入した場合

従業員が購入した場合も①と基本的に同様です。

単純に食事代の補助として金銭を支給する時は、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き補助をする全額が給与として課税されます。

 

また、要件の金額を超えて会社が負担した時は、その限度額を超えた金額ではなく会社が負担した全額に所得税・住民税が課税されます。

※参考規定  所得税基本通達36-38の2

 

早朝出社しても、取り扱いは夜の残業と同様になるようです。
従業員への福利厚生も規定を守っていないと思わぬ課税をされることがあります。
ご参考にしていただければ幸いです。


・2019年1月9日 公開


関西・大阪の会社設立に関することなら、いつでもお気軽にご相談下さい。 0120-633-017
お問い合わせメールフォーム