国際観光旅客税の概要
この税金の徴収によって年間およそ400億円の税収増が見込まれています。現在外国人観光客の関連予算としては、観光庁など各省庁で700億円あまりが使われているのですが、今後外国人観光客をさらに増やすためには、観光先進国実現に向けた観光基盤の充実・強化など様々な政策、そしてそのための予算が必要になります。
その一方で国の財政は大幅な赤字ということで、新たな財源を確保することがこの税金の目的なのです。
国税庁のホームページを覗くと、Q&A・チラシ等がアップされ、周知が進んでいます。
また、納税義務者の定義も明確化され、「観光目的のほか、ビジネス、公務、就業、留学又は医療目的など、その目的を問わず本邦から出国する者が含まれるのであるから留意する」とされており、出国する人を対象とする定義となっています。
国際観光旅客税の税務上の扱い
そして、ビジネス等では、法人の従業員等が海外出張する際には、法人がこの「国際観光旅客税」を負担する場合が想定されます、これもQ&Aで経理方法についても以下の通りです。
―国際観光旅客等の経理編―
(従業員が海外へ出国した際の「国際観光旅客税」を法人が負担した場合の取扱い)
所得税法上の取扱い
従業員の出国が法人の業務の遂行上必要なものである場合には、法人が負担した「国際観光旅客税」に相当する額は、旅費として非課税とされます(所得税法9①四)。
一方、従業員の出国が法人の業務の遂行上必要なものでない場合には、法人が負担した「国際観光旅客税」に相当する額は、その従業員に対する給与として所得税の課税対象となります。
法人税法上の取扱い
従業員の出国に伴い、法人が負担する「国際観光旅客税」に相当する額については、法人の業務の遂行上、必要なものか否かによって、旅
費交通費やその従業員に対する給与として取り扱われますが、いずれの場合であっても法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されます。
(海外出張に係る「国際観光旅客税」の所得税法上の取扱い)
個人事業主が海外に出国する際に支払う「国際観光旅客税」に相当する額については、その出国が事業の遂行上直接必要であると認められる場合には、その支払った日の属する年の事業所得等の金額の計算上、必要経費の算入されます。
なお、その海外出張について、事業の遂行上直接必要であると認められる期間と認められない期間がある場合には、「国際観光旅客税」に相当する額をそれらの期間の比率等によってあん分し、事業の遂行上直接必要であると認められる期間に係る部分のみ必要経費に算入することになります。
「国際観光旅客税」は、日本人・外国人に関わらず、出国するたびに旅客運賃等に上乗せされて納める税金です。出国1回につき1人1,000円。税収は観光先進国実現の趣旨にのっとって、有効に使って欲しいところです。
・2018年11月28日 公開