ふるさと納税ワンストッ プ特例
ふるさと納税制度ができて数年経ちました、ふるさと納税のワンストップ特例についてお伝え致します。
ワンストップ特例とは
ふるさと納税のワンストップ特例制度は、平成27年4月1日以降に行われるふるさと納税に適用されるもので、確定申告が不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が年間5団体以内である場合に限り、ふるさと納税を行った各自治体に申請することで確定申告が不要となるものです。
ふるさと納税のワンストップ特例の適用を受ける方は、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額が翌年度の住民税から控除されます。
【各自治体への申請とは】
「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を翌年1月10日までに提出する必要があります。
同じ自治体に複数回寄附しても寄付先の自治体数は1です。また、寄附する度に申請が必要ですので、同じ自治体に3回寄附した場合は、3回申請書を提出することになります。
【確定申告をする場合の控除額】
(1)所得税寄附金控除・・・所得控除
(寄付金額-2千円)を所得控除⇒(控除額×所得税の限界税率×1.021が軽減)
※控除対象寄付金額は総所得金額等の40%が限度
(2)住民税基本控除・・・税額控除(寄付金額-2千円)×10%
※控除対象寄付金額は総所得金額等の30%が限度
(3)住民税特例控除・・・税額控除(寄付金額-2千円)×(90%-所得税の限界税率×1.021)
※住民税所得割額の20%が限度
【ワンストップ特例制度による控除額】
(1)住民税基本控除
上記と同じ
(2)住民税特例控除
上記と同じ
(3)住民税申告特例控除・・・税額控除
特例控除額×所得税の限界税率×1.021÷(90%-所得税の限界税率×1.021)
ワンストップ特例制度の場合、所得税での控除額とほぼ同額となる、住民税申告特例控除があるため、確定申告する場合とかわらない控除額となっていますが、
住民税申告特例控除は、住民税特例控除額をもとに計算するため、特例控除額が限度額である「住民税所得割額の20%」となる場合には、確定申告する場合の所得税額の控除額と、ワンストップ特例制度の場合の住民税申告特例控除額との差が生じることになります。
※住民税所得割額とは、住民税の課税所得に税率を乗じて算出した税額から調整控除額を控除した後の税額をいいます。
調整控除額とは、平成19年の所得税から住民税へ税源移譲された際に、所得税と住民税の人的控除額の差に応じて税負担を調整するために住民税所得割税額から一定額を控除するものです。
ワンストップ特例の申請により損得が生じる場合
実際にどのようになるか、以下のケースで、比較したいと思います。
※計算方法は割愛しております。
給与収入 5,000,000円(給与所得3,460,000円)
社会保険料 700,000円
旧生命保険料支払額 120,000円
一般扶養 1名
1.ふるさと納税額 49,000円(総務省のHPの年間上限の目安)
「確定申告」
所得税の寄附金による軽減税額 2,400円
住民税基本控除 4,700円
住民税特例控除 39,900円
合計 47,000円
「ワンストップ特例」
住民税基本控除 4,700円
住民税特例控除 39,900円
住民税申告特例控除 2,400円
合計 47,000円
2.ふるさと納税額 80,000円
「確定申告」
所得税の寄附金による軽減税額 3,900円
住民税基本控除 7,800円
住民税特例控除(上限20%)40,300円
合計 52,000円
「ワンストップ特例」
住民税基本控除 7,800円
住民税特例控除(上限20%)40,300円
住民税申告特例控除 2,400円
合計 50,500円
2のケースのように、控除額が、寄付金から2,000円を引いた全額控除が受けられない場合には、確定申告をされた方が有利となります。
ワンストップ特例を申請しても適用されない場合
(1)医療費控除の申告などのため、確定申告をした、または住民税の申告をしたとき
(2)6団体以上の自治体へ特例申請書を提出したとき
(3)確定申告書が未提出であっても給与収入が2,000万円以上のとき
(4)特例の申請書に記載した住所が翌年1月1日現在の住民登録地と異なるとき
ワンストップ特例が適用されているか否かは、翌年の住民税の納税通知書等で確認をすることができます。
ワンストップ特例が無効となっていた場合、期限後の所得税の確定申告もしくは修正申告・更正の請求をすることにより、所得税の寄付金控除と個人住民税の寄付金税額控除の適用を受けることができます。
ちなみに、前年にワンストップ特例申請を既にされていた場合で、実際に比較計算して確定申告をした方が有利ば場合は、確定申告はできますので、それも一考かと思います。
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設
【国税】
地域再生法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人が、地域再生法の改正法の施行の日から平成32年3月31日までの間に、地域再生法の認定地域再生計画に記載された同法の地方創生推進寄附活用事業(仮称)に関連する寄附金を支出した場合には、その支出した寄附金の額の合計額の20%からその寄附金の支出について法人住民税の額から控除される金額を控除した金額とその支出した寄附金の額の合計額の10%とのうちいずれか少ない金額の税額控除ができることとする。
ただし、控除税額は、当期の法人税額の5%を上限とする。
【地方税】
法人事業税及び法人住民税から次のとおりそれぞれ税額控除ができる措置を講ずる。
1. 平成29 年3月31 日までに開始する事業年度については、
当該寄附金の合計額の10%を当該事業年度に係る法人事業税額から、
当該合計額の5%を当該事業年度に係る法人道府県民税法人税割額から、
当該合計額の15%を当該事業年度に係る法人市町村民税法人税割額から
それぞれ税額控除ができることとする。
ただし、控除税額は、当期の法人事業税額の20%、法人道府県民税法人
税割額の20%、法人市町村民税法人税割額の20%を上限とする。
2. 平成29 年4月1日以後に開始する事業年度については、
当該寄附金の合計額の10%を当該事業年度に係る法人事業税額から、
当該合計額の2.9%を当該事業年度に係る法人道府県民税法人税割額から、
当該合計額の17.1%を当該事業年度に係る法人市町村民税法人税割額から
それぞれ税額控除ができることとする。
ただし、控除税額は、当期の法人事業税額の15%、法人道府県民税法人
税割額の20%、法人市町村民税法人税割額の20%を上限とする。