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「外れ馬券が経費」となる要件

最高裁判決
<・・・、被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の 条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たる・・・>

 

この判決を受けて、国税庁の所得税法基本通達34-1(2)には注意書第1項として上記とほぼ同内容の文言が追加されました。
また、留意すべきは同注意書第2項にて「上記(注)1以外の場合の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する」と明記されていることです。

 

そこで、改めて馬券の払戻金による所得が雑所得と認められる要件を整理すると・・・、
1.馬券の購入が、馬券を自動的に購入するソフト(ソフトウェア)を使用して独自の条件設定と計算式に基づくこと

2.インターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をすること

3.2.のような購入をした馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げること

4.一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかであること

と云えます。

 

なお、上記要件は当然ですが例示ではなく限定列挙ですので、上記要件を全て満たさないと馬券購入による所得は「雑所得」とは認定されず、外れ馬券は経費となりません。

・・・、云うまでもなくこんな馬券の買い方をしている人は100人に
1人もいませんよねぇ・・・。
よって、通常の馬券の払戻金については、今までどおり「一時所得」として扱われ、外れ馬券のごときは経費になりません。残念(無念)!!

 

では、次の単純モデルで考えるとどうなるのでしょうか。
(一)単勝一点 100万円購入       払戻金    0円
(二)馬連五点 一点10万円計50万円購入 払戻金 150万円

 

雑所得と認められた場合
150万円-(100万円+50万円)     = 0円
一時所得の場合
{(150万円-10万円)-50万円}×1/2=45万円

 

・・・、競馬ファンの方々、今まで通り外れ馬券なぞ経費にならないと改めて肝に銘じて馬券を楽しみましょうね。


・2016年2月3日 公開


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