NISAの使い勝手をよりよくするための改正
1.少額投資非課税制度(NISA)とは?
その名称からも、「少額の投資だったら税金が掛からないんだな」というのはイメージが湧くと思います。
NISAとはこんな制度です。
1.利用できる方 … 日本に住む満20歳以上の方
2.非課税対象 … 株式投資信託・上場株式等への投資から得られる売却益や配当金等
3.非課税投資額 … 新規投資額で毎年100万円が上限(最大500万円)
4.非課税期間 … 最長5年間
5.口座開設可能期間 … 10年間(平成26年から平成35年まで)
条件を満たせば、上場株式や投資信託などの利益(売却益や配当金)に課される税金が掛からなくなるという制度です。
2.使い勝手が悪かった…
2014年に導入されたばかりのNISAですが、
1.同一の勘定設定期間(※1)内に複数の金融機関にNISA口座を開設することができない
2.同一の勘定設定期間内におけるNISA口座廃止後の再開設ができない
など、利用者にとって不便な点がありました。
そこで、NISAの普及・定着を図る観点から、利便性向上・手続きの簡素化を図るべく、上記2点について改正がありました。
※1 勘定設定期間とは、NISA口座を利用できる期間のことで、
以下の3つの期間に分けられています。
・ 2014年(平成26年)~2017年(平成29年)4年間
・ 2018年(平成30年)~2021年(平成33年)4年間
・ 2022年(平成34年)~2023年(平成35年)2年間
3.同一の勘定設定期間内における金融機関の変更
一言でいうと、「今までは複数の金融機関でNISA口座を開設することはできませんでしたが、一定の手続きの下で、複数の金融機関でNISA口座を開設することができる」ようになりました。
ここでは、平成26年から平成29年までの勘定設定期間(4年間)を前提に説明します。
☆改正前☆
非課税管理勘定(※2)
1.平成26年分 … A証券会社
26年から30年までの非課税期間(最長5年間)
2.平成27年分 … A証券会社
27年から31年までの非課税期間(最長5年間)
3.平成28年分 … A証券会社
28年から32年までの非課税期間(最長5年間)
4.平成29年分 … A証券会社
29年から33年までの非課税期間(最長5年間)
26年にA証券会社でNISA口座を開設した場合、29年まではA証券会社でしかNISA口座を開設することができませんでした。
※2 非課税管理勘定とは、金融機関において、他の課税対象となる口座と区別するためにNISA口座内において各年に設けられる非課税投資枠のことです。
☆改正後☆
非課税管理勘定
1. 平成26年分 … A証券会社
2. 平成27年分 … B銀行
3. 平成28年分 … C銀行
4. 平成29年分 … D証券会社
手数料の有利な別の金融機関に変更できないなどの不具合に対応するため、一定の手続き及び要件の下、同一の勘定設定期間内における金融機関を1年ごとに変更できるようになりました。
4.同一の勘定設定期間内におけるNISA口座廃止後の再開設
これも一言でいうと、「NISA口座を廃止すると同一勘定設定期間中は、NISA口座を再開設できませんでしたが、再開設することができる」ようになりました。
平成26年から平成29年までの勘定設定期間(4年間)を前提に説明します。
☆改正前☆
非課税管理勘定
1. 平成26年分 … NISA口座で投資
2. 平成27年分 … NISA口座を廃止
3. 平成28年分 … NISA口座の再開設ができない
4. 平成29年分 … NISA口座の再開設ができない
海外転勤等でNISA口座を廃止すると、次の勘定設定期間(平成30年以降)にならないとNISA口座を開設できませんでした。
☆改正後☆
非課税管理勘定
1. 平成26年分 … NISA口座で投資
2. 平成27年分 … NISA口座を廃止
3. 平成28年分 … NISA口座の再開設ができる
4. 平成29年分 … NISA口座の再開設ができる
平成30年を待たずにNISA口座を再開設できるので、非課税枠を無駄にすることがなくなります。
なお、この改正は平成27年1月以降に行う手続き分から適用となりますので、ご注意下さい。
ちなみに…
さらに使い勝手をよくすべく、非課税投資額100万円の引き上げ(120万円へ)、ジュニアNISA(未成年者の口座開設)の創設などが検討されており、今後目が離せない存在と言えるかもしれません。
・2015年6月23日 公開