税務お役立ち情報

消費税還付スキームとは?

■はじまりは、自販機還付スキーム

 

マンションを建てて不動産賃貸業をする大家さんは、建築時に業者さんに建築代金とともに消費税を支払います。本来なら、この消費税は支払いっぱなしです。

 

大家さんには課税売上がないので(居住用マンションの賃貸収入は非課税)、消費税の申告は出来ません。

そこでマンション建築と並行して自販機を設置して自販機収入という少額の課税売上をたてて消費税課税事業者を選択して課税事業者になり、建築代金の消費税を還付してもらいます。
でも、このまま本則課税で課税事業者のままだと、2年目、3年目と家賃収入という非課税売上があがってきて3年目で調整されてしまうので、2年目は簡易課税を選択して、3年目は免税業者になる手法が、10数年前から流行りだしました。

 

* 建物を建築した後の3年間で課税売上割合が大きく変動した場合には3年後に調整される制度があります。建築時の1年目は入居者0で自販機の課税売上だけで課税売上割合は100%、2年目、3年目は、家賃収入(非課税売上)が上がり課税売上割合は極端にさがります。そして3年後に消費税を再計算して納付することになります。
これは3年間とも本則課税の場合に適用されます。
結果として還付はほとんど無かったことになります。

 

*この本則課税での課税売上割合の「調整」が還付スキームの重大なポイントです

 

 

■平成22年の税制改正では、課税事業者を選択、もしくは消費税新設法人の事業者(つまり、自ら課税事業者になった事業者)は、その後2年以内に建物を建築したら、その後3年間は簡易課税も選択出来ないし、免税事業者にも戻れないというものでした。要するに3年後の「調整」から逃げ切れないようにしようとしました。

 

一見すると今回の改正と同じ様にみえますが、「2年間」のすき間が違います。平成22年の改正では、課税事業者を選択して3年後に建築した場合や、自然と課税事業者になった時に建築した場合は、当時の改正の適用除外になり、「調整」から逃れて還付スキームが可能になっていました。

 

そこでH28年度消費税の改正になったようです。改正案の文章に「3その他所要の措置を講ずる」とありますし、消費税還付スキームの規制に完全にダメ押しって感じです。


・2016年5月17日 公開


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