税務お役立ち情報

中小企業向け租税特別措置法の要件の見直し

 

中小企業に対する優遇措置は、中小法人等に対するものと中小企業者等に対するものに大別されますが、判定対象となる法人の資本金が1億円以下かどうかで判定を行ってきました。そこで大企業並みの所得がある法人でも、資本金を1億円以下にすることにより中小企業向けの優遇措置を受けることが可能であったため、本来の趣旨を踏まえて適用要件の見直しが行われました。

 

1.適用時期
この改正は、H31年4月1日以後開始事業年度から適用されます。

 

2.内容
その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得の金額の合計額をその事業年度の各事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額が15億円を超える事業年度は、特例を適用することが出来ません。

 

3.除外される措置
租税特別措置法上に規定されている優遇措置の一部について適用が受けられなくなります。

 

中小法人等に対する主な優遇措置

 

1.法人税率の軽減
法人税の税率は原則として23.4%です。
ただし、中小法人については、年800万円以下の所得について、19%の軽減税率を適用

 

2.特定同族会社の特別税率の不適用
一定の同族会社が一定額以上の内部留保をした場合に課される特別税率

 

3.貸倒引当金の損金算入
その法人の業種にかかわらず、繰入限度額に達するまでの金額を損金算入

 

4.交際費等の損金不算入制度
法人が支出した交際費等は原則として、全額損金の額に算入しないこととされています。
中小法人は、年800万円以下の交際費等は全額損金算入が認められています。

 

5.欠損金の繰越控除
青色申告書を提出した事業年度において欠損金が生じた場合には、その事業年度の後の事業年度以降に繰越して、後の事業年度の所得から欠損金を控除することで、法人税の負担を軽減できます。

 

6.欠損金の繰戻還付
青色申告書を提出する事業年度に欠損金が生じた場合、翌事業年度以降に繰越すのではなく、欠損金が生じた事業年度開始の日の前1年以内に開始した事業年度の所得金額に繰戻し、既に納めた法人税から、欠損金の分だけ還付を受けることができます。

 

※中小法人等とは、次のいずれかに該当する法人等をいいます。

1.  普通法人のうち、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの

(以下①②に掲げる法人に該当するものを除く)又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法 に規定する相互会社を除く。)

 

①大法人(次に掲げる法人をいう。以下同じ。)との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人

イ 資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人

ロ 相互会社(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)

 

②普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部を当該全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において当該いずれか一の法人と当該普通法人との間に当該いずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときの当該普通法人

 

2.  公益法人等又は協同組合等

 

3.  人格のない社団等

 

中小企業者等に対する主な優遇措置

 

1.中小企業者等に対する軽減税率
中小企業者等は、年800万円以下の所得について、15%の税率を適用

 

2.中小企業技術基盤強化税制
青色申告書を提出する中小企業等が試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度の税額控除割合等を優遇。

 

3.中小企業投資促進税制
青色申告書を提出する中小企業等が一定の機械装置等の対象設備を取得や製作等した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用(税額控除は、資本金3,000万円以下の法人)できるものです。

 

4.少額減価償却資産の取得価額の損金算入
青色申告書を提出する中小企業者等は、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)であれば、即時にその全額を損金処理することができます。(合計300万円まで)

 

5.貸倒引当金の損金算入
中小企業者等の貸倒引当金の特例制度に係る中小法人に対する法定繰入率の選択を認める措置

 

※ 中小企業者
①資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法人
(下記に該当する法人を除く)

 

イ、大規模法人(資本金等が1億円超の法人又は常時使用する従業員の数が1,000人超の法人)に発行済み株式等の総数等の1/2以上を所有されている法人

 

ロ.2以上の大規模法人に発行済み株式等の総数等の2/3以上を所有されている法人

 

②資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

 

措置法は適用期限があるため、今後の税制改正により延長された場合は、適用要件等を再度確認することが必要です。

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