確定申告をすれば税金が戻る場合
確定申告をしなくてもよい方でも、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が納め過ぎとなっている方は、還付を受けるための申告書を提出する事が出来ます。
下記の場合には、税金が納め過ぎになっている可能性がありますので1度確認してみて下さい。
・申告納税額の計算上控除しきれない源泉徴収税額がある場合
・予定納税額の合計額が申告納税額より多い場合
・その年分の所得が少ない方で、配当所得や原稿料収入などがある場合
・給与所得者で、雑損控除、医療費控除、寄付金控除を受けることが出来る場合
・給与所得者で、年の中途に退職し、その後就職しなかったために年末調整を受けなかった方で、源泉徴収税額が過納となっている場合
・退職金の支払を受ける際、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったために、20.42%の税率で所得税及び復興特別所得税を源泉徴収された方でその源泉徴収税額が正規の税額より多い場合
・政党等に寄附をされた場合
・認定NPO法人、公益社団法人に寄附をされた場合
・住宅借入金等特別控除の適用が受けれる場合
(給与所得者が年末調整において適用を受けた場合を除く)
・既存住宅に係る特定の改修工事をされた場合(一定の要件を満たす)
・既存住宅の耐震改修工事をされた場合(一定の要件を満たす)
・認定住宅の新築等をされた場合(一定の要件を満たす)
・所得税額の計算上控除しきれない外国税額控除の額がある場合
・災害により住宅や家財について、その価格について50%以上の損害(保険等により補填される金額を除く)を受けた方で災害免除法の規定による、所得税の軽減又は免除の適用を受けることができる場合
以上のような条件を満たす時に、税金が戻ってくる場合がござます。
確定申告をしなければいけない方
=確定申告をしなければいけない方=
1.各種所得がある方
・その年分の、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、又は雑所得のある方は、これらの所得金額の合計額から、扶養控除、基礎控除などの所得控除額を差引き、その金額を基として算出した金額が配当控除額よりも多い方は、確定申告をしなければなりません。
2.給与所得がある方
・給与の年間収入金額が2000万円を超える。
・源泉徴収の対象となる金額の給与を1カ所から受けており、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える。
・源泉徴収の対象となる金額の給与を2カ所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える。
・同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与の他に貸付金の利子、店舗・工場の賃借料、機械・器具の使用料などの支払を受けた。
・給与についての、災害免除法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた。
・在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払いを受ける際に所得税を源泉徴収されないこととなっている。
3.公的年金等に係る雑所得のみの方
・公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がある。
(注)その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得の金額の合計金額が20万円以下である場合は確定申告の必要はありません。
4.退職所得がある方
・退職金の支払を受ける際、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったために、20.42%の税率で所得税及び復興特別所得税を源泉徴収された方で、その源泉徴収税額が正規の税額より少ない方。
・外国企業から受け取った退職金など源泉徴収されていないものの支払を受けた方。
(注)退職所得は、一般的に「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、退職金の支払の際に、支払者が所得税及び復興特別所得税を徴収する源泉徴収だけで所得税の課税は済まされます。
確定申告とは?
働かれている方の大部分は年末調整を行う事により、その年分の所得税が精算されるので確定申告は不要となります。
それでは確定申告とはどのような手続きのことを言うのでしょうか?
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額について課税されますが、所得の金額とそれに対する税額は、納税者が自らを計算し、原則として、翌年の2月16日から3月15日までに申告、納税をする事を言います。
確定申告は、1年間に生じた所得金額を確定させるということと同時に、その確定した所得金額について計算した税額と、給与・利子・配当などの所得について源泉徴収された税額や、予定納税をした税額などの総額と比べて納め過ぎているか、あるいは納め足りないかを計算し精算するとともに、その年の所得税及び復興特別所得税の額を最終的に確定するためのものでもあります。
(注)復興特別所得税とは
東日本大震災からの復興のために必要な財源確保を目的とした税金。
平成25年から平成49年までの各年分については、所得税と併せて復興特別所得税を申告、納付することとされています。
復興特別所得税は、各年分の基準所得税額に2.1%の税率を乗じて計算します。
国外に居住している親族の扶養控除の適用要件が厳格化
税制改正の適用時期ですが、所得税については平成28年分以降、住民税については平成29年分以降です。
具体的な改正内容ですが、年末調整時や確定申告時に、下記の1.親族関係書類及び2.送金関係書類の提出が義務付けられることになります。
1. 親族関係書類
下記のうちいずれかの書類になります。
・戸籍の附票の写し等国等が発行した書類でその非居住者がその居住者の親族であることを証するもの及びその親族の旅券の写し
・外国政府等が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証するもの(その親族の氏名、住所及び生年月日の記載があるものに限られます。)
2. 送金関係書類
下記のうちいずれかの書類になります。
・金融機関が行う為替取引により、その居住者からその親族へ向けた支払が行われたことを明らかにする書類
・クレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと及びその商品等の購入代金に相当する額をその居住者から受領したことを明らかにする書類
上記書類の提出により扶養認定が行われることになりますが、例えば、
1.親族関係書類について国によっては発行が難しい場合があったり、
2.送金関係書類についてどの程度の金額であれば扶養していると認められるのかといった疑問が残ります。また、上記の書類が外国語で作成されている場合は訳文を添付等することとされており、納税者や会社の経理担当者の負担が増えるといった問題点も想定されます。
国外居住親族に係る扶養控除等の適用に関する各種情報は、『国税庁の国外居住扶養親族に係る扶養控除等のQ&A』をご確認下さい。
「外れ馬券が経費」となる要件
最高裁判決
<・・・、被告人が馬券を自動的に購入するソフトを使用して独自の 条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するといえるなどの本件事実関係の下では、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として所得税法上の一時所得ではなく雑所得に当たる・・・>
この判決を受けて、国税庁の所得税法基本通達34-1(2)には注意書第1項として上記とほぼ同内容の文言が追加されました。
また、留意すべきは同注意書第2項にて「上記(注)1以外の場合の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する」と明記されていることです。
そこで、改めて馬券の払戻金による所得が雑所得と認められる要件を整理すると・・・、
1.馬券の購入が、馬券を自動的に購入するソフト(ソフトウェア)を使用して独自の条件設定と計算式に基づくこと
2.インターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をすること
3.2.のような購入をした馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げること
4.一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかであること
と云えます。
なお、上記要件は当然ですが例示ではなく限定列挙ですので、上記要件を全て満たさないと馬券購入による所得は「雑所得」とは認定されず、外れ馬券は経費となりません。
・・・、云うまでもなくこんな馬券の買い方をしている人は100人に
1人もいませんよねぇ・・・。
よって、通常の馬券の払戻金については、今までどおり「一時所得」として扱われ、外れ馬券のごときは経費になりません。残念(無念)!!
では、次の単純モデルで考えるとどうなるのでしょうか。
(一)単勝一点 100万円購入 払戻金 0円
(二)馬連五点 一点10万円計50万円購入 払戻金 150万円
雑所得と認められた場合
150万円-(100万円+50万円) = 0円
一時所得の場合
{(150万円-10万円)-50万円}×1/2=45万円
・・・、競馬ファンの方々、今まで通り外れ馬券なぞ経費にならないと改めて肝に銘じて馬券を楽しみましょうね。
国税の納付方法について
国税は、申告した税額等に基づき納税者ご自身で納付の期限(納期限)までに納付する必要があります。
(申告書の提出後に税務署から納付書の送付や納税通知等のお知らせはありません。)
納付の方法は主に4つあります。
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1 現金に納付書を添えて納付する方法
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1. 金融機関又は所轄の税務署で納付する場合
現金に納付書を添えて、金融機関又は所轄の税務署の納税窓口で納付します。
2. コンビニで納付する場合
税務署から送付又は交付されたバーコード付納付書(納付税額が30万円以下の場合に限ります。)を使用して、コンビニで納付します。
※ 次のような場合には税務署がバーコード付納付書を送付又は交付をします。
イ 確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)
ロ 督促・催告を行う場合(全税目)
ハ 賦課課税方式による場合(各種加算税)
ニ 確定した税額について納税者の方から納付書の発行依頼があった場合(全税目)
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2 預貯金口座から振替納税する方法
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振替納税は、申告所得税及び復興特別所得税や個人事業者に係る消費税及び地方消費税の納税に利用できます。
利用開始に当たっては、「口座振替依頼書」の提出が必要です。
※振替納税を利用している方で、転居等により申告書の提出先税務署が変更となった方は、新たに振替納税の手続が必要となります。
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3 ダイレクト納付又はインターネットバンキング等を利用して電子納税する方法
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こちらは金融機関の窓口まで出向かなければならない、あるいは窓口の受付時間内しか納付できないなどの場所・時間的な制約がなくなるというメリットがあります。
利用に当たっては、事前に「開始届出書」の提出が必要となるほか、ダイレクト納付を利用する場合は「ダイレクト納付利用届出書」の提出が必要となります。
1. ダイレクト納付
事前に税務署へ届出等をしておけば、e-Taxを利用して電子申告等又は納付情報登録をした後に、届出をした預貯金口座からの振替により、簡単なクリック操作で即時又は期日を指定して納付することがでます。
※ ダイレクト納付による電子納税は、e-Taxを利用して送信するデータが、「申告等データ」である場合と、「納付情報データ」である場合で、対象税目が異なります。
2. インターネットバンキング等による電子納税
インターネットバンキング等による電子納税には、登録方式と入力方式の2つの方式があります。
登録方式とは
e-Taxソフト等を使用して納付情報データを作成し、e-Taxに登録することにより、登録した納付情報に対応する納付区分番号を取得して電子納税を行う方式です。
入力方式とは
e-Taxに納付情報データの登録は行わず、登録方式の場合の納付区分番号に相当する番号としてご自身で納付目的コードを作成して電子納税を行う方式です。
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4 延納・物納(相続税・贈与税)
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相続税・贈与税については、期限までに納付できない場合には延納制度があり、さらに相続税については、金銭納付が困難で、かつ一定の要件を満たす場合には、物納制度があります。
国税の納付方法は上記のとおりです。
補足:クレジットカードでの納付は?
最近はクレジットカードで税金の支払いがすすんできていますが利用 できる税目は主に「自動車税」・「固定資産税」・「軽自動車税」・ 「住民税」といった地方税となります。
また、利用できる自治体も限られています。 さらに税金のクレジットカード払いに対しては手数料が発生してし まいます。お持ちのクレジットカードのポイントをためるのは良いかもしれません。
スマホで納税が可能に
6月16日からそのスマートフォン等でe-Taxが利用できる ようになりました。
新たなサービスの名称は「e-Taxソフト(SP版)」で、昨今の普及や利用者 からの意見要望を受けて、利便性の向上を図るため、これまでパソコンでの 利用を前提としていたe-Taxのサービスのうち、一部の手続等が行えるように なりました。
「一部」という表現でおわかりだと思いますが、今回使えるようになるのは、 全ての機能ではなく、下記の一部の機能です。
○利用者情報の登録・確認・変更
○納税
○メッセージボックスの確認
○還付金処理状況の確認
申告をスマホから行えませんが、納税がスマホで行えるようになったので、 忙しくてなかなか事務処理に時間が割けない方などは利便性が向上するのでは ないでしょうか。
ただし、利用可能時間が決まっており、e-Taxソフト(SP版)の利用可能時間は、 e-Taxの利用可能時間と同様の「月曜日~金曜日の8時30分~24時(祝日等及び 12月29日~1月3日を除く)となります。
また、ダイレクト納付(即時納付)及びインターネットバンキングによる電子 納税については、e-Taxの利用可能時間内で、かつ、納税手続を行う金融機関の システムが稼動している時間となります。
24時間というわけではないので、注意してください。
便利なので普及することはいいのですが、歩きスマホ、LINE等の犯罪、ウイルス 対策、紛失などには気をつけて利用しましょう
雑損控除について
地震、火災、風水害等の災害によって住宅や家財等に損害を受けたときは、確定申告で 1.「所得税法」に定める雑損控除の方法 2.「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法 のどちらか有利な方法を選ぶことで、所得税の全部又は一部を軽減することができます。 ※ 災害減免法は、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が対象となります。
雑損控除とは?
災害又は盗難若しくは横領によって、損害を受けた場合等には、所得控除を受けることができます。 これを雑損控除といいます。
この雑損控除は、地震や洪水等の災害や盗難・横領といった犯罪により、 予想外の損害・損失を被った方の税金を負担する能力が減少することに 配慮した制度です。
本人はもちろん、扶養親族の損害も適用対象となります。
生活に通常必要な住宅、家具、衣類等の資産が対象で、事業用の資産 や別荘、書画、骨とう、貴金属等で1個又は1組の価額が30万円を 超えるものなどは対象外です。
また、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
雑損控除として控除できる金額は?
雑損控除として控除できる金額は下記の計算式(1.又は2.)のうち、 どちらか多い金額となります。
損失発生年度に控除しきれない部分は、「雑損失」として翌年以降 3年間繰り越すことが可能です。
1.(損害金額+災害関連支出金額-保険金等による補填金額) -総所得金額等×10% 2. 災害関連支出金額-5万円
※「災害関連支出金額」とは、災害により滅失した住宅、家財等を 取壊し又は除去するために支出した金額等です。
少し分かりにくい計算式ですが、簡単に言い換えますと、
(上記1.の計算式) 損害を受けた資産の時価から受け取った保険金等の金額を 差し引いた金額が所得の10%を超えた金額
または、
(上記2.の計算式)
災害関連の支出が5万円を超えた金額のうち、どちらか多い金額が雑損控除として控除できる金額になります。
では、具体例で雑損控除として控除できる金額を見てみましょう。
サラリーマンAさんが、洪水で住宅の一部が損壊する被害を受け、 その損壊部分の撤去費用を支出し、保険会社から保険金を受け取った場合。 損害金額 4,800,000円(内災害関連支出金額 300,000円) 受取保険金 4,000,000円 総所得金額等 6,000,000円 上記1.の計算式では、 (4,800,000円-4,000,000円)-6,000,000円×10%=200,000円 となります。 災害関連支出があるため、上記2.の計算式では、 300,000円-50,000円=250,000円 となります。 上記1.の計算式の金額よりも上記2.の計算式の金額の方が多いので、 上記2.の計算式で求めた250,000円が雑損控除として控除できる金額 となります。
雑損控除を受けるための手続
確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、 災害関連支出金額の領収を証する書類を添付するか、提示して下さい。
給与所得のある方は、このほかに給与所得の源泉徴収票(原本)を 申告書に添付して下さい。
災害等により予想外の損害・損失を被った場合には、この雑損控除を 活用して、税金負担の軽減にお役立ていただければと思います。